不器用男子の、恋。


……やべぇ。


朝っぱらなのに、抱き締めたくなった。


ってダメだ。ここは我慢だ!


「ったく、遅刻したらどうすんだよ」


「ご、ごめ……っ!」


俺が怒られるのは別にいいけど、トロが怒られるとか見てらんねぇし。


ぜってぇ遅刻なんてさせらんねぇ!


俺はトロの小さな手を取る。


ふわふわですべすべで、触り心地がたまらなく気持ちいい。


……きっと手だけじゃなくて、全身そうなんだろうと想像してしまうと、身体が疼いてしまった。


って、俺、ほんと朝っぱらから欲情すんなっての!


ムラムラとした気持ちを跳ね退けるように顔を上げたその先に見えるのは、1つの像。


その像は“永遠の恋人”の象徴らしい。


高校までは少し遠回りになってしまう四角公園を毎朝の待ち合わせ場所にしている理由はこれだ。


そして、俺は毎朝祈る。


……ずっと、トロ……いや、七星のそばにいられますように。

 
< 5 / 26 >

この作品をシェア

pagetop