ヒーローの缶詰
「何!?貴様っ、ヒーローになりたいのか!!?」
「は?」
突然聞こえた、聞きなれない男の声。
しかも大衆の面前で、恥ずかしい台詞をぶちまけられたことに気づいて、勢いよく顔を上げた。
目の前に、腕組みをして座っていたのは、
黒髪のよく似合う、外見はごく普通の男。
ただ、嬉しそうに輝いた表情で、俺を見ていた。
「だ、誰だ、あんた…?」
その表情があまりに気色悪いので、少し引き気味に尋ねた。
「む、俺は貴様の同志だ!!」
はぁぁあ!!?
「何が同志だよ!!俺はおまえなんか知らねぇ!!」
こいつ、口調がおかしいし、若干話が通じてない。
ますます気色悪い。
「これから知って行けばよい!!さあ、我が部へ来い!!」
「部!!??って何だ、おい、話聞け!」
"若干"、撤回、"全く"だ。こいつ、俺の話聞く気が無いんじゃないか!?
「さあ、こっちだ、我が同志よ!!」
周囲の引いた視線を一身に集めて、
俺は、このテンションのバカ高い男に、どことも分からない所へ、引きずられていった…。