ヒーローの缶詰
「懐かしいわね~!あんたビデオに撮って何度も何度も見てたからね~。」
何やらしみじみと思い出に浸りだした母ちゃんのことはほっといて、
気になってしょうがなかった、今のヒーローと言うやつを見ていた。
彼は、名前こそ昔と変わらないが、ひどくクールで必殺技の時に叫ぶこともなかった。
「これをカッコいいと思うのか、今の子どもは!カッコいい違いだろ!」
「何叫んでるの、うるっっさい子だねぇ!」
母ちゃんに怒鳴られても、俺はめげない。
「母ちゃん!これって子どもからみてカッコいいと思うか!?」
テレビをのぞきこんで、50代の母ちゃんは頬を赤らめた。
「あらー!いい男じゃないのー!」
「ババアの好みは聞いてないんだよ!」