ヒーローの缶詰
「"COOL"は日本語じゃあ、"かっこいい"だろう?おまえ、かっこいいって認めてるようなもんじゃないか。」
大学構内の食堂で、スーツ姿で就活真っ只中の大学生三人、
その姿には似つかわしくない話題だったことは、よく理解してる。
俺は先日浮かんだ例の疑問を、友達の晃(アキラ)と、その彼女・春日野(カスガノ)に投げかけてみたわけだ。
リアリストである晃には、まず嘲笑された。
実に失礼なヤツだ。俺の心が、どれだけ傷ついたと思ってんですか、コラ。
こんな大人になるなよ、少年、少女たち!!
さて、ではそんな晃が、なんで冒頭のようにとりあってくれたかというと、
春日野が真面目に聞いてくれたからである。
彼女の意見一つでこれですよ、最低な生き物だな、この男。
「私もかっこいいと思うよ。やっぱり、大人目線での意見になっちゃうけどね。」
苦笑しながら春日野が続けた。
まあ、そうだ。
いったん大人になってしまってからでは、どうしても、子供目線で考えるのは難しい。