願恋叶
「もしもし、柚?」
「あ、うん。」
あきらかおかしい返答だった。
でもたむちんは
あははと笑ってとくに触れないでくれた。
それから少し他愛もない話をした。
「柚さ、無理しすぎんなよ。」
いきなり話を変えられた。
「無理なんかしてないって!
大丈夫大丈夫!」
なるべく明るく振る舞う。
たむちんには余計な心配してほしくなかった。
「なら、いいんだけどさ…。
俺にとって柚は大切だから、なんかあったら
相談してね?」
"俺にとって柚は大切だから、"
嬉しい言葉なのに傷ついてる自分がいる。
ならどうして私と付き合ってくれなかったの?
ならどうして千鶴と付き合ったの?
そんな子どもじみたものばかりが
頭にうかんでくる。
「おい、柚?どした?」
考えてる間たむちんのはなしを
きいてるわけなく、どうやら黙っていたらしい。
「え、あ、大丈夫!なんでもない!」
そういったわたしの頬は濡れていた。
「そ、そろそろ私寝るね!
おやすみ!」
「お、おやすみ!」
泣いてることに気づかれたくなくて
私は電話を切った。