私の家のお隣さん。


「これはね、新人賞受賞の手紙なの。」

「…?新人賞?」

思いもよらなかった単語に疑問は沸くばかりだ。



「あーえっとね、実は、あの人、小説家なのよ」

え、

「ええええーー!!!」


目を見開いて驚いた。

でも、確かに。だったら家から全然出ない理由もわかる。

「それで、私は編集者。彼をサポートしてるの」

たくさんの疑問が一気に解決した。
髪がボサボサでメガネなのもわかるし、女の人が先生、と呼んでいたことも。

でも…じゃあ今朝の不審な音はなんだったんだ?

ちらりと周りをみると、彼のデスクの左側の壁沿い、つまりわたしの部屋の側の壁、に自動の鉛筆削り機が置かれているのが見えた。

その音だったのか…。

「あの、」

そう言いかけたところで、誰かが部屋に入ってくる音がした。

「あ、先生、おかえりなさい。」


え??先生?


< 15 / 32 >

この作品をシェア

pagetop