私の家のお隣さん。
「これはね、新人賞受賞の手紙なの。」
「…?新人賞?」
思いもよらなかった単語に疑問は沸くばかりだ。
「あーえっとね、実は、あの人、小説家なのよ」
え、
「ええええーー!!!」
目を見開いて驚いた。
でも、確かに。だったら家から全然出ない理由もわかる。
「それで、私は編集者。彼をサポートしてるの」
たくさんの疑問が一気に解決した。
髪がボサボサでメガネなのもわかるし、女の人が先生、と呼んでいたことも。
でも…じゃあ今朝の不審な音はなんだったんだ?
ちらりと周りをみると、彼のデスクの左側の壁沿い、つまりわたしの部屋の側の壁、に自動の鉛筆削り機が置かれているのが見えた。
その音だったのか…。
「あの、」
そう言いかけたところで、誰かが部屋に入ってくる音がした。
「あ、先生、おかえりなさい。」
え??先生?