私の家のお隣さん。
好奇心じゃなくて
次の日は久々に何もない日曜日だった。
だけど、家にいると隣のことが気になってしまう気がして、寝不足からか重い頭を無理やり起こして、出かけることにした。
猫に会いに実家にでも帰ってみようか。
そう思って部屋を出た。
隣を通り過ぎる時に、偶然出てきたりとかしないかな、なんて思ってみたけれど、扉はピクリともしない。
ああ、なに考えてんだ、わたし。
その場を離れて、駅に向かった。
実家は、電車で一時間ほどのところにある。
駅につき、すぐに来た電車に乗った。
ドアの隅に立って何気なく吊り広告をみていた。
右側を向いた時、目に入ってきた名前に心臓が飛び出そうになった。
よくある本の広告だ。新刊発売とか書いてあるもの。そこに。
「横溝ツヨシ『虹』絶賛発売中!」
たくさん並ぶ名前の中に、一番小さい字でそう書かれてあったのだ。
ペンネーム、本名と同じなのか…。
そうとわかると、居ても立っても居られなくて、ちょうど開いたドアから飛び降りた。