私の家のお隣さん。
「落ち着いた?」
紅茶を淹れてくれて、少し飲んだ後に、優しく声をかけてくれる。
「はい、いきなり押しかけちゃってすいません…」
「うん、驚いたよ、なんの用?」
昨日より優しいその声に、少し落ち着いて、答えた。
「わたし、ファンになりました!」
買ってきた本を嬉々としてみせる。
「…は?」
その声が少し低くなっていることに気付かずに、私は続けた。
「さっき、買ってきたんです!」
「あ、そうなの。わざわざありがとう。それだけなら出て行って。じゃあね」
一気に冷えた声と突き放す言葉に頭がついていかない。