私の家のお隣さん。
そう促されて、ミドリさんに肩をだかれながら自分の部屋のなかに入った。
「私、今日本屋でこれを見つけて、立ち読みしてみたんです」
ソファに座ってミドリさんに経緯を話す。
「奥の方にあったから、実はあまり期待してなかったんですけど、読み始めたら止まらなくて」
静かに話す私の言葉を頷いてきいてくれる。
「それで、最後まで読んでしまって、いてもたってもいられなくて、隣に押しかけてしまったんです。」
「そしたら…突き放されてしまって…」
うんうん、と頷いていたミドリさんは、私に、
「押しかけた時、なんて言ったの?」
と聞いた。
「ファンになりました、これ買ってきたんですって」
「あー、それはダメだわ」