私の家のお隣さん。

そう促されて、ミドリさんに肩をだかれながら自分の部屋のなかに入った。

「私、今日本屋でこれを見つけて、立ち読みしてみたんです」

ソファに座ってミドリさんに経緯を話す。

「奥の方にあったから、実はあまり期待してなかったんですけど、読み始めたら止まらなくて」

静かに話す私の言葉を頷いてきいてくれる。

「それで、最後まで読んでしまって、いてもたってもいられなくて、隣に押しかけてしまったんです。」

「そしたら…突き放されてしまって…」

うんうん、と頷いていたミドリさんは、私に、

「押しかけた時、なんて言ったの?」

と聞いた。

「ファンになりました、これ買ってきたんですって」

「あー、それはダメだわ」
< 24 / 32 >

この作品をシェア

pagetop