私の家のお隣さん。
あなたのことが
ファンレターを出してから数日がたった。
手紙ってだいたいどれくらいでつくものなんだろうとなんのアクションもない隣の部屋をみて、思う。
気になりすぎて、大学でもバイト先でもイマイチ身が入らない。
一日の講義がおわって、そのまま帰路についた。
最寄り駅でおりて、家までの道を歩いているときだった。
正面から誰かが走ってくるのが見えた。
ジャージにある二本線に、その人が誰だか気付く、その前に。
勢い良く抱きつかれた。
「いいいや、あああの、横溝…さん?」
いきなりのこの状態に、頭が全くついていかない。
熱が集まって、きっとわたしの顔は今スゴく真っ赤だ。
ああどうしよう、どうすればいいんだろう、唇が震える。
「…手紙、受け取ったよ」
思わずビクリと肩が揺れる。
「アツい、ファンレターだった。」
そう言うと離れて、手を握って向き合う。
久々にみる彼の顔が前に増して柔らかくて、頭は沸騰寸前だ。
「帰るとこだったんだよね、歩いて話そう」
私は硬くなって頷いた。