私の家のお隣さん。
「あ、おはよー」
先に起きていたミナトはすでに用意を済ませて、紅茶を飲んでいる。
今朝のことは気のせいだよね…。
おはよーと返しながら、わたしも準備を始めた。
「いってきまーす」
ミナトが誰もいない部屋に向かってそんなことを言うから面白くてつい吹き出した。
「誰もいないよ」
「あ、そっか。ゴミ袋持つよ」
出がけにゴミの日だったことを思い出して、まとめてあったやつを持っていた。
アパートから少し出たところにあるゴミ置き場に行くと、男の人がいた。
「うわー…あっやしー…あんな人いるの…?」
その人は、肩に二本線の入ったジャージを着ていて、猫背な上にボサボサの髪にメガネ、という風貌で、ミナトは顔をしかめた。
「みたことないなあ。ウチのアパート専用のゴミ置き場のはずだけど…」
「…こっち見てるよ、こわ…いこ!」
スタスタと歩き出すミナトに、頷いて、ついていった。
それからはたわいもない話をして、大学に着いて一限からの講義をうけた。