愛に溺れ、濡れた心
料理をさりげなく取り分けてくれる翔太。
結構優しいんだな…




「…にしてもびっくりしたよ。まさか同じ駅に住んでたなんて。」




あー…えっと、正直に説明しなくては。




「私の家っていうか…お兄ちゃんのマンションに今一緒に住ませてもらってて…」




「え?お前一人っ子だっただろ?」




不思議そうな顔をする翔太。
これまた家庭の事情を話さなくては……




「実は母が再婚してね。お兄ちゃんっていうのは父の連れ子で……」





「そうだったのか。…よかったな!」



「……え……?」




「お前母子家庭だったし、たまに寂しそうな顔してたからさ。家族が増えてよかったな!」



そんな風に純粋に喜んでくれるものだから、不純な関係だなんて…言えそうにない。
それに、翔太が昔の自分を気にかけてくれていたことが意外だった。




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