愛に溺れ、濡れた心
「莉紗。お待たせ。」





「翔太、ちゃんと来たよー。」






翔太の顔を見て安心した反面、仕事中だからか着ているシャツが少し大人びて見えて、なんだか別の緊張を感じる。








「はい、じゃあこちらへどうぞ…ってなんか恥ずかしいよな…」





呟く翔太に誘導されて大きな鏡の前の椅子に座った。
真っ白な店内は美容室らしい清潔感があり、ところどころに小さな観葉植物や雑貨が飾られおしゃれな雰囲気だ。








「どんな感じに切るの?」





「何、俺に任せてくれんの?」





「えっ…うん…余程変な髪型じゃなければ……」






少し不安そうに苦笑いする莉紗を鏡越しに見て、翔太は得意気に言った。





「かわいくなれば文句ねーだろ?」





「う、うん…お願いします。」





「了解。集中するから黙るけど、許してな。」






そう言うと雑誌を手渡した。




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