愛に溺れ、濡れた心
全て用事を済ませて、カフェで一息つく。
辺りは暗くなっていた。






涼はもうすぐ仕事が終わるだろうか。
顔を合わせたくない……
今夜は、帰りたくない……





カップの中のコーヒーに映る自分の顔が頼りなくて、更に不安を煽る。







ボーッと考えていると、突然ケータイが鳴り出した音にビクッとする。
あれ、着信…





翔太?






「もしもし。」




『おぅ。お前昨日ピアス片方落として行っただろ?』




「えっ?あれっ…そういえば、ない…かも!」




『相変わらず抜けてんなー。』




翔太のいつものからかう声も、今日はなんだか安心する。




『いつ返そうか?』



「うん、急いではいないんだけど…」



『そっか。じゃーまたそのうち。』





あ、どうしよう……



『じゃーまたな。』




どうしようっ…



「待って翔太!切らないで!」



咄嗟に口から出た言葉。




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