キミの誘惑
今の俺には、先輩に“好き”と伝えることと
こうしてただ黙って先輩を見ていることしかできない
先輩、好きなんです
「あの子、自分が可愛いって自覚全く無いんだから・・・・・・」
中村先輩が呆れるのも無理はない
だって本当にミオ先輩は可愛いから
「・・・あらら、後輩くんは独占欲が強いようで」
「・・・仕方ないじゃないっすか」
中村先輩はなんでもお見通しだ。味方としては心強いけど、敵に回したら怖いだろうな
「本当にお似合いだと思う、二人は」
「まだ、付き合ってないっす」
「・・・・・・確かに」
ふっと笑うと中村先輩はまた、アイスティーを飲んだ
「ミオね、年上しかダメなの」
「知ってます」
前に中村先輩から教えてもらったミオ先輩情報の1つだ
中村先輩は俺を不安にする天才───?
俺が年上だったら、付き合ってくれた?
「年上っていうより、しっかりした人がいいんだと思う」
あくまで、あたしの考えだけど、と付け足す先輩
「俺、しっかりしてませんか・・・・・・?」
「もっとね、ミオの頼れる異性になれ、ってことよ」
頼れる異性、か───
「そしたらミオも、年上っていう理想、考えなくなるかもしれないよ」