キミの誘惑
ミオ先輩の学校では見れない姿が見れて
満足だし、それだけで嫌なことも忘れられる
「俺、払いますよ」
「ここは先輩のあたしに任せなさい」
「先輩で、しかも女性に払わせるなんて男の恥です」
「そういうのは、ミオにしてあげて」
「・・・・・・でも」
「ねっ?」
笑って言う先輩に、ミオ先輩と俺のことを考えてくれる先輩に
“すごくいい人だな”って本気で思った
「ごちそうさまです」
「いえいえ♪」
中村先輩は伝票をヒラヒラさせてお会計に行く
俺もついていくと、レジにはミオ先輩がいた
「ミオ、お疲れっ」
「緊張したし、失敗しなくてよかった・・・・・・」
「頑張ってたじゃん。それに後輩くん、ずーっとミオのこと見てたしね」
「なっ・・・恥ずかしいじゃない!」
一気に先輩の顔が赤くなる
きっと俺も───
好きな人を目で追うのは、自然なことだ
けど人に言われると、それに本人の前だとなおさら恥ずかしい
「・・・・・・また来てもいいですか?」
また、先輩の笑顔がみたい。
可愛い姿がみたい。
「・・・・・・私の気が向いたらね」
「ありがとうございましたーっ」
先輩の営業スマイルを最後に、俺と中村先輩はファミレスを出た。
「あー、楽しかった!」
「俺もです」
さっきの中村先輩の言葉を思い出す
“21時上がり”か・・・・・・
ミオ先輩が来るのを待とうかな───