キミの誘惑
「じゃ、あたしはこれで。暗いんだから気をつけてね、
二人とも」
「えっ」
「ばーか、先輩甘く見ないの。後輩くんの考えてることなんてお見通しなの」
「・・・・・・適わないっすね。大丈夫です。俺、頼れるオトコになりますよ?」
「なら安心。じゃあね」
さすが中村先輩だ
俺が今ここですぐに帰らないことを分かってる
俺は中村先輩の後ろ姿が見えなくなってから、駐車場近くの壁に寄り掛かった
“待つ”ことが好きじゃない人も少なくないと思う
けど、ミオ先輩を待ってるこの時間は全然苦痛にならなかった