キミの誘惑



小走りで校門をくぐろうと一歩踏み出した瞬間───


ドン───!


「きゃっ」

「いてっ」

「ご、ごめんなさい!」


校門横からスッと人影が出てきたと同時にぶつかってしまった

「こっちこそ、すいません」


顔を上げれば、そこにはアイドルかと疑うほどの制服をきた美少年が立っていた


「大丈夫?ケガ、ない?」

制服のネクタイの色を見るかぎり、新入生だ


「っ───!」


目が合った瞬間、彼は私の顔を見るなり目を見開いた


「あの、大丈夫?」


何も答えてくれない・・・・・・

「私の顔に何かついてる?」

「っ!あ、いえ!俺は大丈夫です」

「そう、よかった・・・あ!バイト!」

立ち止まっていられるほどの時間はもうない

バイトに間に合わなくなっちゃう!

「じゃあっ」

彼に一声かけ、私はまた走った



「・・・やっと逢えた」


そう彼が呟いたのに、私は気付かなかった



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