へたれ王子



「え、だってそんな…菊池先輩はそれでいいんですか!?」



あたしがそう聞くと、菊池先輩は、



「大丈夫。もう慣れた。幼なじみだからね」



ってあっけらかんとしてそう答える。


そんなぁ。そんなのってアリ!?



あたしがそう思っていたら、ふいに菊池先輩が話を続けて言った。




「でもさ、」

「?」

「友希は、落ち込むようなことがあると、そうしたりもするよ」

「え、」

「まぁだいたいは疲れたから帰ったりするんだけど、
それ以外の問題もあり得るの。たまにだけどね」

「…」




菊池先輩のそんな言葉を聞いて、あたしはちょっと考え込む。

確か星河先輩がいなくなる直前、あたしは菊池先輩にデートの服を選んでもらったことを星河先輩に話してた。

その後にいなくなったから、もしかして星河先輩は…。



あたしがそう考え込んでいると、そのうち菊池先輩があたしの顔を覗き込んで、言った。




「…もしかして、なんかあった?」

「!!」




そう言って、どこか心配そうにあたしを見る菊池先輩。



「だ、大丈夫です!何もないですよ、」



あたしがそう言うと、菊池先輩は呟くように「そっか」と言った。










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