へたれ王子



「…茉友ちゃん」

「はい?」



「!」



ふいに、菊池君が茉友ちゃんを呼び止める声が聞こえてきて、俺は立ち止まった。



「それ俺が持つよ。重いでしょ?」

「あ。ありがとうございます」

「いえいえ」



「…」



その会話が気になって、俺はまたコッソリふたりを見てみる。

するとそこでは、菊池君が茉友ちゃんからゴミが入ったゴミ袋を受け取っている姿があって…

俺はなんとなく、複雑な気分になった。



…いや、でも俺だってわかってる。

二人は友達だ。

だからこうして二人で仲良くしてても、おかしくはない。




でも…。














「はい、終了ー!」



その時先生のそう言う声が聞こえてきて、チャイムも鳴った。


もうそんな時間だったのか…。




俺は菊池君と茉友ちゃんが離れて行ったのを見送ったあと、

生徒玄関に戻った。




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