へたれ王子


「いや、何それ。意味わかんねーから、」



そしてしばらく黙ったあと、菊池君が呟くようにそう言う。

そう言った直後苦笑いを浮かべて見せたけど、その顔はどこか引きつっているように見えた。



「…約束してくれる?」



俺がそう言って再びジュースを菊池君に渡す格好をすると、菊池君はそれに手を伸ばしたかと思えば…



「やだ」



意外にもはっきりそう言って、そのジュースを俺に押し返した。



「!!…何で、」



俺がそう言って菊池君を見ると、菊池君はちょっと笑って言う。



「っつか友希さ、俺子どもじゃないんだからたった一本のジュースでそんなお願い聞かないよ、」

「!」

「それに…」



すると菊池君は、その笑みを真剣な表情へと移しながら話を続けた。



「…言ったでしょ?俺は、



あいにく男を優先したりしないからって」



「!!」

「だから、その友希のお願いは聞けない。ごめんね、」



菊池君はそう言うと、「じゃあ、俺先教室戻ってるよ」とその場を後にした。


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