へたれ王子


はぁ…どうしよ、



あれから独りになって、教室に戻る気力もない俺は、生徒玄関でぼーっとしていた。

そんな俺の片手には、さっき菊池君にあげるはずだったジュースがまだ残っている。


菊池君…俺より茉友ちゃんを優先するのか。

友達だから?

なんかそれ嫌だー。



そう思って、ため息を吐きかけた時…





「…あれ、星河くん?」



「!」




その時田中先生が現れて、話しかけられた。



「…田中先生」



俺は田中先生の方をチラリと見たけど、その視線をまた前に外した。


…田中先生に話しかけられるのは、この前「夏野さんと釣り合ってないよ」とかなんとか言われた日以来だ。

なんか気まずい。


田中先生はそのまま俺の傍に来ると、



「なんか元気ないね?」



そう言って、俺の顔を覗き込んだ。




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