へたれ王子
すき…?
「だから、信じるよ。茉友ちゃんが、俺を裏切るわけないの、気付いたし」
「!」
星河先輩はそう言うと、照れくさそうに笑う。
一方、いきなりそう言われたあたしは、まさか星河先輩に「好き」なんて言ってもらえるとは思ってもみなくて、
思わず顔を赤くして下を向いた。
「…っ、」
うわ、なんだろ。
なんか今、すっごく幸せ!
そして思わずニヤけそうな顔を必死で抑えていると、隣で星河先輩が「帰ろうか」って呟く。
「はいっ」
なんか…未だに夢みたい。
ずっと大好きでしかたなかったけど、届かなかった星河先輩が、今はすぐ隣にいる。
そしてその幸せを噛みしめながら、あたしは星河先輩と一緒に校舎を出た。
そんなあたし達の姿を、
階段の上から田中先生がじっと見ていたとも知らずに。