へたれ王子



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それから、何日か平和に暮らしていたある日。

教室で読書をしていると、ふいにあたしの携帯が鳴った。



…実は、携帯、買ってもらったんです。

お母さんに「買って」と言ってみたら、



「だから必要になるって言ったでしょ」



って言って、あのゴミ拾いをした日に即買ってもらいました。




そして未だ慣れない手つきで携帯を開いたら、

アドレスを交換したばかりの菊池先輩からメールが来ていた。




「?」




何のメールだろ?


そう思ってそれを開いてみると…






“昼休み、屋上に来て。待ってるから。”






って、それだけが書かれてあった。




「…」




菊池先輩から呼び出しだなんて、珍しいな。

あたしはそう思うと、ぎこちない手つきで返信のメールを打った。




“わかりました。”





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