へたれ王子
…菊池先輩…。
先輩の優しさはいつも感じるけど、
時々本当に心から助けられる。
「…ありがとうございます、」
あたしがそう言うと、菊池先輩は何も言わずにまた優しい笑顔を浮かべた。
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そして、数十分後。
ようやく学校の近くにある雑貨屋に到着すると、二人でそこに入った。
そこはあたしが入ったことのないオシャレな雑貨屋で、
あたしは色んなものに目移りしてしまう。
「えっと、星河先輩ってネックレスしますか?」
「うーん、しないな」
「じゃあ、腕時計とかはどうですか?」
あたしがそう聞くと、菊池先輩が「どんなの?」ってあたしに近づいてくる。
なるべく学校にもしていけるようにシンプルなデザインのものを選んだ。…つもり。
菊池先輩はその腕時計を見ると、「いいんじゃない?」って言ってくれた。
「友希もそのデザイン、きっと好きだよ」
「!…ほんとですかっ!?」
「うん、」
…なんか、好きな人にあげるものを選ぶのって楽しいな。
そう思うと、自然と顔がほころぶ。
「…」
そんなあたしの横顔を、
菊池先輩が切なく見つめていることには気づかずに。