へたれ王子
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星河先輩 side
誕生日前日の金曜日。
朝、学校に到着するなり俺はいろんな人からプレゼントを渡された。
でも…。
「星河先輩、明日誕生日ですよね!あの、プレゼント持って…」
「ごめん、いらない」
って、そればっか言ってさっきからずっとプレゼントを断っている。
何故かって?
そりゃあだって、茉友ちゃんからのプレゼントが欲しいからに決まってんじゃん。
(…あ、でも、茉友ちゃんって俺の誕生日知ってんのかな)
そう思っていると、やがて幼なじみのアイツが登校してきた。
アイツ…菊池君は鞄を自分の席の上に置くと、何やら青いチェックの封筒みたいなのを持って俺に近づいてくる。
「ゆーきー」
「あ、菊池大将くん」
「なんでフルネーム?ってかさ、誕生日おめでとう」
菊池君はそう言うと、不気味なくらい爽やかな笑みを俺に向けた。
「あ、ありがとう…?」
そして俺がそう言うと、菊池君はその青い封筒みたいなのを俺に渡して言葉を付け加える。
「はい、これ。誕生日プレゼント」
「え、嘘っ!?」
「ほんとだよ。それ、友希にあげる」
菊池君はそう言って、またニッコリ笑う。
だけど俺は、なんだか信じがたい。だって…
「…菊池君が俺に誕生日プレゼントとか、珍しい。ってか、初めてだよね」
こんなことは今までになかったから。