へたれ王子
…これは何かの罠か?
そう思ってその封筒らしきものをまじまじと見つめていたら、菊池君が言った。
「開けてみなよ」
「いいの?」
「もちろん、」
菊池君の言葉に、俺はそれを開封する。
…何が入ってんだろ。
そう思って中を見てみたら、そこには二枚の…シール?
「え、何でシール?」
お前は乙女か。
そう思いながら菊池君を見たら、菊池君は
「だって他に思いつかなかったし」
って苦笑いを浮かべた。
っつーかシールって、俺何に使えばいいの。
そう思いながらそのシールを見てみたら、二枚ともメッセージシールで、
一枚は「ハッピーバースデー」とか「おめでとう!」とか書かれてあるシールだった。
…もう一枚は?
何のシールだ、と思って見てみると…
「…“絶対負けない”…?」
「…」
まるで、ライバルに送るような言葉が書かれてあるメッセージシールだった。
それに何故か、“宣戦布告”とか“お前に勝つ!”とかいっぱい書いてある。
…これは穏やかじゃねーな。
「…俺、菊池君に何かしたっけ?」
気になってそう聞いてみれば、菊池君は笑って言った。
「あぁ、そのシール面白いでしょ?
次のテスト、友希には負けたくないなぁって、そう思って買ったの。
前は負けてばっかだったから」
「…そう、だっけ?」
それならいいんだけど。
「…、」
…なんて、この時純粋にその言葉を信じてしまった、俺が間違いだった……。