へたれ王子
星河先輩…寝るなんてかなり予想外。
でも、寝顔もやっぱり可愛い…ってか、凄く素敵だと思ってしまう。
肩にあたる頭は、そのままにしておこう。
なんか落ち着く。
あたしはそう思うと、また視線をスクリーンに戻した。
星河先輩 side
しばらく映画を観ていたら、それはいきなりラブシーンに突入してしまった。
それに困ってチラリと横を見ると、やっぱり茉友ちゃんも困っている様子で…
俺は特に眠たいわけじゃないけど、咄嗟に寝たフリをしてしまう。
その時に茉友ちゃんの肩に寄り掛かったのは、本当はわざと。
「俺は寝てるから、ラブシーンを観てないよ」っていうメッセージのつもり。
茉友ちゃんはそんな俺を起こそうと何回か揺すっていたけど、
何だか心地がいいから寝たフリを続けた。
…ま、本当は好きなコのすぐ隣で、こんな簡単に寝れるわけないんだけど。
俺だってラブシーンはかなり照れるから、普通に観れるわけがない。
それから数分後、自然なタイミングで目を開けたら、映画はもう普通のシーンに戻っていた。
俺は茉友ちゃんの肩から頭を離すと、茉友ちゃんに「ごめんね」と言って再び映画に集中したのだった。