へたれ王子



そう思っている間にも、カラオケはすぐ近くにあったようであっという間に到着してしまう。




「二人で1時間お願いします」

「はい、かしこまりました」




星河先輩はよくここに来ているのか、店員さんに店のカードらしきものを渡す。




「菊池君とよくここに遊びに来るんだよ」

「あ、そうなんですか」



あぁ、どうりで…。


そう思いながらやたらあたしがキョロキョロしていると、

いつの間にか受付を終わらせた先輩が、「こっち」とあたしを部屋へ案内した。



…星河先輩は何を歌うんだろう。




そう思って色んな意味でドキドキしていたら、

部屋に着いた瞬間星河先輩があたしに言った。




「茉友ちゃん、先歌っていいよ」

「!!…え、」



星河先輩はそう言うと、ニッコリ笑う。



い、いやいやいや!

それは無理!絶対無理ですっ!!




「ほ、星河先輩から歌ってくださいよ」




あたしが慌ててそう言うと、




「じゃあ、じゃんけんしよっか」




と、そう言って、あたし達はじゃんけんをした。



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