へたれ王子



「…、」



その言葉に、あたしの心臓がうるさく鳴る。

なんだか妙に熱い顔を感じて恥ずかしく思っていたら、

そのうち星河先輩があたしの肩に手をやり、

あたしを先輩の方に振り向かせた。





しかし、その瞬間…




「!」




予想外に星河先輩の顔が近くにあって、

あたしはびっくりして顔を逸らす。



「…っ!」



だけどそれは星河先輩も同じだったようで、

先輩はちょっとびっくりしたような顔をしてあたしを見た。


…さっきのラブシーンを思い出しちゃった…。



そう思うとまた更に恥ずかしくなり、




「じゃ、じゃあ次歌いますか!」




そう言って空気を変えようと立ち上がった瞬間…




「茉友ちゃん、」

「!!」



星河先輩が、あたしの腕を掴んだ。

そしてまたそこに座らされ、また至近距離で星河先輩と目が合う。




…もしかして…







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