へたれ王子
「…平気だよ」
でも誰かに相談とかする気はないから、
俺はそう言って笑顔を浮かべた。
…っていうか、今日の帰りどうしよう。
茉友ちゃんと顔合わせづらいな…。
「今日は一緒に帰れない」って、
メールしようかなぁ…でもなぁ。
そう思っていた時だった。
「星河くーん」
「!!」
突如教室の入り口で、誰かに呼ばれた。
…?
声がした方を見ると、そこには田中先生がいた。
「…げ、田中」
さっきまですぐ傍で話していた女子はそう呟いて田中を見る。
どうやら田中先生は、女子生徒に嫌われているらしい。
「何ですか?」
自分の席から田中先生にそう聞くと、先生は俺に申し訳なさそうな顔をして言った。
「ごめん、今日の放課後、SHR終わったら職員室に来て」
「え!?」
田中先生はそれだけ言うと、その場を後にした。