へたれ王子



め、めんどくせー…。



「マジかよ…」



そしてそう呟き、思わず今日一番の大きなため息を吐いてしまった直後、

すぐ傍にいる女子が呟くように言う。



「何かさ…」

「?」

「田中って、やたら友希を呼ぶよね」



そう言って、ジロリと俺を見遣るけど、

俺は笑って言った。



「まっさかー。気のせいだって。考えすぎ考えすぎ」



そう言ったけど、その女子が「そうかなぁー」と納得のいかないような顔をする。



「やたら“星河くん、星河くん”って、ウザすぎ!」



そしてそう言って、さっきまで田中先生が立っていた教室の入り口を睨む。


…女ってコエー。



でもそれって、マジで考えすぎでしょ。

それに何より、田中先生のお気に入りは茉友ちゃんなんだから。


…え、っていうか実は茉友ちゃん狙いで俺を呼んでたり?



俺はそう思うとなんだか不安になってきた。



こうなったら絶対に放課後職員室に行かなきゃ!




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