へたれ王子
俺がそう言うと、菊池君はすぐに頷いた。
…あぁ、でもこんなに複雑なことってきっとない。
このまま二人が別れちゃえばいいのにって思う俺は、最低だ。
自分から茉友ちゃんを振っておいて。
そしてやがて張り詰めた空気が和らぐと、菊池君が座っていたソファーから立ち上がって言う。
「…話って、もう終わり?」
「うん、一応は」
「じゃあ時間余っちゃったね。どっか行く?何なら久しぶりにゲーセンとか…」
「無理疲れた死ぬ動けない、」
「……」
俺はそう言って菊池君から顔を背けて、ソファーの背もたれに寄り掛かった。
…あ、何だろう。出かけるってなったら急にマジで疲れが…。
そう思っていると、菊池君が俺の傍にやって来て言う。
「…だったら帰りなよ」
「あと10分休んだらね」
………
………
そしてそれから結局一時間くらい休んで、俺は菊池君の家を後にした。
「じゃあ、明日学校で」
菊池君はそう言って、俺に軽く手を振る。
なんだかんだで、腐れ縁。それでも良い幼なじみだ。(出来れば可愛い女の子が良かったけど)
俺はそんな菊池君に手を振り返すと、その家に背を向けた。
…すると、その時…
「友希!」