へたれ王子
…何処に行くつもりだ?
っつか、もしかしてこの感じ…告白?
いやまさか。落ち着け、俺。
もしかしたら、このコは友希のことを好きで、本人に言う勇気がないから俺に伝えてほしいっていう展開に違いない。
(前にもそういう事は何度もあったし)
…うん、そうだ。っつかそうであってくれ。
そう思いながらしばらくそのコに続いて歩いていると、全く人気がなくなった廊下で急にそのコが立ち止まった。
「!」
そして、ふと俺の方を振り向くと、頭の上に?を浮かべている俺に言う。
「あ、あの…先輩、」
「うん?」
「突然呼び出しちゃって、すいません」
「いや、それは別にいいけど…なに?」
…できれば早めに終わらせて。俺は茉友のことで頭がいっぱいなんだから。
そう思ってそのコの次の言葉を待っていたら、そのコが恥ずかしそうに言った。
「えっと…あたし、一年の冬木あずさって言います」
「…うん、」
「で、実はあの…あたし、菊池先輩に一目惚れしちゃって…」
「!」
「出来ればあたしと付き合ってほしいんですけど…」
そのコはそう言うと、顔を赤くして俯く。
…うわ、マジで告白じゃん。
女の子にこうやってまともに告られたの、久々だな。
俺は突然の告白にそう思いながらも、そのコに言った。
「あ…き、気持ちは嬉しいよ。うん。ありがとう、」
「いえ…」
「でも俺、今は他に大事なコがいるからさぁ…付き合えないよ」
そう言って手を合わせると、俺は「ごめんね」って言葉を付け加えた。