へたれ王子
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茉友 side
翌朝。
今日は目が覚めて洗面台に立つと、鏡に映る自分の顔がいろいろ酷かった。
昨日泣きすぎて目が腫れてるし…しかも眠れなかったから寝不足だし。
何か本当に最悪。言ってしまえば、お化けそのものだ。
…だけど、今日も予定通り一日が始まろうとしている。
あたしはいつものように髪をみつあみに結うと、家を後にした。
…………
そして、家を出て歩くこと数十分。
やっと学校にたどり着くと、靴を履きかえて教室に向かった。
あたしのクラスは、4階。
階段を上る途中で佐伯さんに話しかけられて、そうかと思えば…
「アンタ、今日どうしたの?顔最悪なんだけど!」
と、容赦なくそんな毒舌を吐かれた。
…そ、そんなにハッキリ言わなくたって…。
まぁ最悪なのはわかってるけど…。
「…す、すみません」
思わずあたしが謝ると、佐伯さんは「メイクぐらいしたらいいのに」って呟いた。
だ、だって…お化粧とかあたし、全然わかんないし…。
それに、そんなのを買うお金もない。
きっと、化粧品って高いよね?
「…お化粧なんて、あたしには一生縁がないものですよ」
あたしがそう言うと、佐伯さんは「アンタ、終わってるわね」とため息混じりにそう言った。