へたれ王子


星河先輩 side


…菊池君がいないと、何かいろいろツマラナイ。

そんな日は、保健室で過ごすに限る。



「……」



今日の俺は午後からずっと保健室のベッドで休んでいるけど、菊池君がいないからか物凄く穏やかな時間が流れている。

いつもならこうしていると菊池君が強引に迎えに来たりするのに、今日はもちろんそんなことがない。



俺は静かな保健室で、静かに天井を見つめた。


…っつか、今何時だろう。


そう思っていると……



「星河君、」

「…はい?」



ベッドの周りを囲むカーテン越しに、山下先生が話しかけてきた。



「具合はどう?もう放課後だから、帰ってもいいのよ」



そう言って、俺の返事を……っつか、俺が帰るのを待つ。


…もうそんな時間なのか。


俺は山下先生の言葉に頷くと、ベッドからゆっくり起き上がった。




……茉友ちゃんは…

もう帰っちゃったかな…。



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