へたれ王子



茉友 side



「待ってたわ、夏野さん」

「!」



そんな田中先生の声が聞こえてきて、あたしは思わずびっくりして振り向く。

すると隅の方に田中先生が座っているのが見えて、あたしが?だらけでいると田中先生はそこから立ち上がって言った。



「夏野さん、どうしてここに呼ばれたかわかる?」

「え、えっと…あの、星河先輩がどーのこーのって…」



あたしがそう言うと、田中先生はふっと笑ってあたしから視線を外した。

…その雰囲気は、何だかいつもの田中先生とは違う。

怖い。


そう思っていたら…



「単刀直入に言うわ」

「?」

「星河君は全然関係ない。あたしが夏野さんを呼び出したの。


アンタのことが目障りだから」


「!!」



そう言って田中先生は、今までにないくらいの鋭い視線であたしを睨み付けた。


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