へたれ王子
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それからはすがすがしい気持ちで、
だけどなんとなく気まずい雰囲気のなか星河先輩と一緒に学校を後にした。
しばらくは言葉を交わさずに歩いていたけど、
校門を出てすぐの場所で、星河先輩が言った。
「…あの、茉友ちゃん」
「は、はい」
「さっき、倉庫で俺が言ってたこと、アレ本当のことだから」
「あ、アレっていうのは…?」
「ほら、あの…俺が茉友ちゃんをまだ好きなこと、とか…」
「!」
星河先輩は呟くようにそう言うと、顔を真っ赤にして俯いてしまう。
その言葉にあたしが正直な気持ちを伝えようとしたら、
星河先輩がそれを遮るように言った。
「でも、決めるのは茉友ちゃんだから」
「え、」
「だってほら、俺は茉友ちゃんを自分勝手に手放しちゃったし…これ以上ワガママは言わないよ」
星河先輩はそう言って、どこか切なく微笑む。
そんな星河先輩の言葉に、やっとある決心をしたあたしは…
「…星河先輩、」
「うん?」
「すみませんっ…」
「!」
そう謝って、走ってその場を後にした。