へたれ王子
…………
そして、ようやく到着してその部屋に入る。
初めて見る菊池先輩の部屋は綺麗に片付けられていて、
星河先輩の部屋とは全く違った。
そんな部屋をなんとなく見渡していたら、風邪で辛そうな菊池先輩がベッドに横たわりながら言う。
「…で、どうしたの?話って何?」
そんな菊池先輩を前に、あたしはまた忘れかけていた緊張が高鳴りだす。
…だけど、言わなきゃ。
あたしはそう思うと、勇気を出して言った。
「あの、菊池先輩…すみませんでした!」
「!」
「えっと、いろいろ菊池先輩を疑っちゃって…今はすんごく反省してます。だから、」
そう言って、また菊池先輩を見れずに俯いてしまう。
でも…
「…茉友、最初から全部話して?」
「!」
菊池先輩はそう言うと、あたしの言葉をじっと待った。
その言葉に、あたしは…
「…実は、田中先生に…」
今までのことを、正直にすべて菊池先輩に話し始める。
菊池先輩の噂のこと。
菊池先輩のキス写真のこと。
でもそれはあたしの勘違いで、全て田中先生の仕業だったこと。
それと、そんな田中先生から星河先輩が助けてくれたこと。
…全部を話した。