へたれ王子

「で、今日はどうしたの」

そう問いかけながら、ゆっくり生徒玄関に向かう。
そんなあたしの問いかけに、後ろをついて来ながら答える大将。

「…自分が諦め悪すぎて辛い」
「…すごいわかるそれ」
「っつかね、諦めようとか思わないのが辛いね。いつかは振り向いてくれるんじゃないかって期待してる。いつも」

大将はあたしの後ろでそう言うと、深いため息を吐く。
それはあたしも凄く共感が出来る感情。
ってか、あたしの場合「諦めよう」とすら思わないけどね。
だからあたしは、そんな大将に前を向きながら言った。

「あのね、人間ちょっとでも諦めることを考えちゃったら、あたしはそこで全てが終わりだと思うの。その瞬間から既に自分の願いからかけ離れてるような気がするから」
「…前向きだな」
「だってそうでしょ。大将は、その…茉友ちゃん?からかけ離れたいわけ?」
「っ、やだよ!」
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