へたれ王子

あたしがそう問いかけると、大将は即答でそう言って首を横に振る。
…思った通りの答え。
大将がそうじゃなきゃ、あたしの友希への想いはどうなるの。ってね。
お願いだから頑張って下さい。お願いだから。
あたしはそう思いながら、呟くように言う。

「…だったらもっと頑張ってよ」
「そんな簡単に言うけどさ、」
「あーあ。早くあの二人別れてくんないかな」

…友希のことが好きすぎて、たまに口から出てしまうあたしの悪いクセ。
本当はこんなこと思いたくないし、良いコでいたいんだけど。
そしたらそれを聞いていた大将が、少し笑って言った。

「おいおいはっきり言い過ぎだろ」
「だってさ…意外に手強いんだもん。いや、嫌がらせとかしてるわけじゃないし、一切手は出してないんだけどね」
「それでいいんだよ。ってか美帆ちゃんはそういうこと出来ないでしょ。俺知ってるよ」

…かわいいこと言ってくれるね。いや、大将の言う通りなんだけど。
あたしは大将の言葉にそう思いながら、ようやく到着した生徒玄関で靴を履き替える。

だけどあたしは、何度も言うようだけど、諦めないから。例え良いコのままでも。
そう思いながら、大将に言った。
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