へたれ王子

「茉友ちゃん、これがエアホッケーだよ。ホントにやったことない?」
「え。あー…知らないゲームですね」

あたしがそう言うと、やっぱり驚きの反応を見せる星河先輩。そんなに有名なゲームなのかな。
だけど星河先輩のエアホッケーの遊び方を聞く限りではそんなに難しくなさそうなルールだから、あたしは鞄を置いて星河先輩と対決してみることにした。

「…負けた方がジュース奢ろうね」
「ハイ。けど先輩、手加減して下さいね」
「もちろん」

………

そして、その後の公園。
あたしと星河先輩は、エアホッケーを終えたあと、ゲーセンを出て公園にやって来た。
あたしがベンチに座っていると、星河先輩が自販機で買ってきてくれたらしいリンゴジュースを手渡してくれた。

「ん、リンゴジュース」
「あ。ありがとうございます」
「ってかホント強いねー、茉友ちゃん」

さっきのエアホッケー対決で、結局勝ったのはあたしだった。
ルールが簡単なせいかそれなりに楽しんでできたし、賭け事をすると基本負けてしまうあたしだけど、星河先輩には勝ってしまったらしい。
あたしはそんな星河先輩の言葉を聞くと、言った。

「いえ。でも、エアホッケーって楽しいですね。また行きましょうね、先輩!」
「んー…そうだね」
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