へたれ王子
「あ、えっと…お話が、あるんですけど」
あたしがしどろもどろにそう言うと、星河先輩は「いいよ」と言ってくれた。
「ちょうど俺も、君に話したいことがあったし」
先輩はそう言うと、「どこで話す?」と爽やかな笑みであたしを見つめる。
そんな先輩に、あたしは「二階の空き教室で」というと先輩と一緒にそこに向かった。
忘れちゃいけない。
これは罰ゲームだ。
クラスの女子達が、あたしの無惨な姿を見るためだけに今頃そこに集まっている。
「…ここです」
そしてようやくそこに到着して、あたしは星河先輩を空き教室に入らせる。
二人きりになってドアを閉めると、ドアの向こうで皆がざわざわと集まってきたような声が聞こえた。
「…なんか、廊下が騒がしいね」
「そ、そうですか?」
星河先輩はそう言って気にしているようだけど、あたしは焦って誤魔化した。
きっと、クラスの女子達が集まってきたのだ。