へたれ王子
「…?」
そんな菊池先輩を疑問に思いながらも、あたしの涙はまだ止まらない。
それに何だか手足もガクガク震えてるし、凄くコワイ。
…そう思っていた時だった。
「茉友ちゃん!」
「!!」
次の瞬間、
倉庫の入り口のドアをたたく音とともに、外側から星河先輩の声が聞こえてきた。
「ほ、星河先輩…!」
どうやら星河先輩が迎えに来てくれたらしい。
「鍵開けて!菊池君!」
星河先輩は必死でそう言うけど…
「…鍵なんてしめてないよ」
菊池先輩が、ドアの向こうにいる星河先輩にそう言った。
その言葉に、星河先輩がガラ、とドアを開ける。
「茉友ちゃんっ…!」
「星河先輩…、」
あたしは星河先輩の顔を見た瞬間、心からほっとしたのがわかった。