へたれ王子
「夏野さん、悪いんだけど先生、今から保健室を留守にしなきゃいけなくて、」
「え、」
「でもここも離れられないから、少しの間留守番をしててくれないかな?」
山下先生はあたしにそう言うと、棚から絆創膏を取り出しながら、申し訳なさそうにあたしを見る。
…いや、山下先生があたしにそう頼るのもわからなくもない。
実際、あたしは保健委員に入ってるし。
だから、山下先生が困っているみたいだし、あたしは「いいですよ」と快く了承した。
「ありがとう!じゃあ夏野さんの教室に行って、先生にそう伝えるね!」
「はい」
「あとは…あ、そうだ!」
「?」
先生は何かを思い出したようにそう言うと、あたしに絆創膏を手渡して言う。