【完】腹黒王子の一途な溺愛宣言
「勇吾が本屋でその子の頭の上に本が落ちそうになって、助けたらそれからずっとアタックしてきてたじゃん!」
あー……あんまり興味なかったけどそんな女いたな………。
「たしか名前はー………夢乃中学の……野田、カリンちゃん」
颯希が言った名前に俺は反応した。
「……っ颯希、さっき夢乃中学の野田カリンって言った?」
「あぁ……あ!苗字と中学……野田と一緒だ」
「たしかあの野田カリンって……1つ下だったよな?」
これだけ条件があればさすがにわかった。
野田カリンは野田の妹だってことが。
「そーいえば勇吾、カリンちゃんのこと全く相手にしてなかったよな」
「あ、あぁ」
あれは俺が中3のとき―――
『青山先輩!これ……受験、頑張ってください!クッキー作ったんです!』
いつも通り学校を出ると、いつものように野田カリンがいた。
王子様キャラを作っていたさすがの俺も、またか……と言ってしまうほどの頻度で俺の学校に来ていた。
『ごめん、受け取れない。俺、忙しいんだ。もう来なくていいよ』
期待させないようにそう言った。
それから彼女はごめんなさい……と言って、俺の学校に来なくなった。