【完】腹黒王子の一途な溺愛宣言
心瑠がいないと……こんなに静かで寂しいんだな。
その辺に転がっている石ころを蹴りながら、帰る。
すると―――
「バレンタインチョコはいかがですかー!」
そんな声が聞こえてきたと思ったら、あるお菓子屋さんでチョコを売り出していた。
店の中は女子高生や女性、カップルで溢れかえっていた。
「チョコ……か」
心瑠、全くバレンタインの話とかしてなかったけど……ちゃんと、覚えてんのかな……。
チョコもらえなかったら俺、マジで泣くわ。
「……ん?」
すると、そのお菓子屋さんの中から見覚えのある人物が出てきた。
「……心瑠?」
……心瑠だ。
そして心瑠に続いてまた出てきた。
「……ウソ、だろ」
藤堂蒼空……だった。
なんでアイツがいんだよ……。