【完】腹黒王子の一途な溺愛宣言
「そうやって誰にでも無防備に触るのかよ……っ」
「そ、そういうワケじゃないですっ!赤の他人には触ったりしません!」
それって……俺は心瑠の中で赤の他人じゃない、ってことだよな?
「なににやけてるんですか?」
心瑠に言われて自分がにやけていたことに気が付く。
「に、にやけてなんかねぇーよ」
「……?」
うそ、本当は嬉しくてちょっとにやけた。
まぁ、そんなの心瑠に言えるワケないけどな。
「あ、そろそろHRはじまりますよ!帰りましょう!」
「み、心瑠!?」
時間を見て慌てた様子の心瑠は、俺の手を引いて空き教室を出た。
「急がないと遅刻つけられます!」
ほんと、コイツはどこまで無防備なんだか……。
くそ……今、すっげぇ心瑠を抱きしめたい。
けど、そんなことしている状況じゃねぇな。
自分の理性が飛ばないように我慢した。