ぼくはネコ
にゃー
それまでここで待ってるからね。


とりあえず、体を舐めて、それからグーッと伸びをした。


「チビ」

「にゃ?」


話しかけられるまで、近くに僕より大きな猫がいたことを、僕は全く気付いていなかった。


野良だから当たり前だ、と。
大きな猫はそう言った。


「猫はだいたい足音をたてないものだけど、野良は余計にそうよ」

「どうして?」

「敵から素早く逃げるためさ」

「敵?」


オバサンの名前も「捨てネコ」と言うらしい。

白と黒。
僕と同じ模様のオバサンだった。


「僕も捨てネコって言うんだよ。一緒だね」

「みんな捨てネコだよ」


オバサンはおかしそうに喉を鳴らした。
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