ぼくはネコ
オバサンの尻尾が少し膨らんだ。


「あんたを捨てネコにしたのもニンゲンだ。見たところまだ2ヶ月ってとこかい」


頭を僕の顎の下に潜らせ、僕の顔をあげさせると「ふん、まだ目も青いね」と言った。


「あんたをお母さんから引き離したのもニンゲンだよ」

「お母さん?」


それがなにかわからないけど、なんとなく懐かしい言葉。


「お母さん」


もう一度、言ってみると胸いっぱいに気持ちが膨らんでドキドキした。


「覚えてないのかい?」

「それって美味しいもの?」


だとしたらきっと、サカナより美味しいに違いない。

だってその言葉を口にするだけでこんなにドキドキする。
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